2026年4月1日に施行される改正民法では、離婚後の親権の考え方が大きく変わります。
とくに「共同親権」という言葉だけが先行し、誤解も少なくありません。
そこで今回は、
改正民法の親権ルールの中でも「最低限ここは押さえておきたい5点」を、
クイズ形式で整理します。
※本記事は『家庭の法と裁判 No.58(2025.10)』特集「改正家族法の要点と解説Ⅰ」および改正民法条文に基づいています。
Q1.改正民法では、協議離婚をする場合、親権者は必ず共同親権になりますか?
答え
いいえ。必ず共同親権になるわけではありません。
改正民法では、協議離婚の際、
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父母の双方を親権者とする(共同親権)
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父母の一方を親権者とする(単独親権)
どちらも選択することができます。
解説
改正法はいわゆる選択的共同親権であり、共同か単独かはケースごとに決める仕組みです。
改正民法819条1項
Q2.協議離婚の届出をするとき、親権者は必ず決めておく必要がありますか?
答え
必ずしも事前に決める必要はありません。
親権者の指定を求める
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家事審判
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家事調停
などの申立てがすでにされていれば、
親権者の定めがなくても離婚の届出は受理されます。
解説
改正民法765条1項2号
「親権が決まらない=離婚できない」という仕組みではありません。
Q3.DV(家庭内暴力)が認められる場合でも、共同親権とすることはできますか?
答え
できません。
DVなど、法律上の「必要な単独親権事由」に該当する場合、
裁判所は父母の双方を親権者と定めてはならず、
必ず父母の一方を親権者と定めなければなりません。
解説
これは裁判所の裁量ではなく、改正民法819条7項による明確な禁止規定です。
Q4.裁判所が親権者を定める際、「父母の協力関係」はどのような位置づけで考慮されますか?
答え
親権の共同行使の可否を判断するための一要素として考慮されるが、それ自体が決定的要素ではない。
解説
父母間の関係は重要ですが、
それだけで共同親権を否定・肯定するわけではありません。
あくまで子の利益の観点からの総合考慮要素の一つです。
改正民法819条7項
Q5.共同親権が認められるためには、夫婦は「仲が良い」必要がありますか?
答え
仲が良い必要まではありません。
共同親権に必要とされるのは、
親権を共同行使するために最低限必要な意思疎通ができる関係です。
解説
頻繁な連絡や友好的な関係までは求められていません。
「不仲=共同親権不可」ではない点は、誤解しやすいポイントです。
家庭の法と裁判58号p8
まとめ:まず押さえるべき改正親権ルール
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改正民法は「共同親権一本化」ではない
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共同か単独かは選択制
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DV事案では共同親権は不可
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判断基準は子の利益
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親の感情より、制度としての整理が重視される
次回は、
「親権者の変更」「監護の分掌」「親権行使者の指定」といった、さらに実務的なテーマを解説する予定です。
お楽しみに。