法律相談コラム
2026/02/21

【改正民法】共同養育を考える父母のための「監護の分掌」入門クイズ(全10問)

「離婚後も子どものために共同養育をしたい」と考えているお父さん、お母さんの間で
令和8年4月1日から始まる新たな制度である「監護の分掌」に期待が集まっています。

もっとも、
「何でも半分ずつ」「いつも一緒に決める」
というイメージとは、少し違う点もあります。

以下のクイズで、
当事者として押さえておきたい実務的ポイントを整理してみましょう。

※出典について
本記事の「出典:p○○」は、すべて
『家庭の法と裁判 No.58(2025.10) 特集「改正家族法の要点と解説Ⅰ」』
の誌面ページ番号を指します。

参照条文は令和8年4月1日の改正後の条文です。


Q1. 新民法で明確にルール化された「監護の分掌」とは、ひとことで言うと何ですか?

答え
父母が、子どもの日々の世話や教育などの身上監護を分担する制度です。

解説
日本で一般に言われる「共同養育」は法律用語ではありません。
改正民法では、その受け皿として
「監護の分掌」が明文化されました。

参照条文

出典

  • p16


Q2. 「監護の分掌」には、どのような分け方がありますか?

答え
次の2つがあります。

  • 期間の分掌(例:一定期間ごとに交替で監護)

  • 事項の分掌(例:教育・医療など分野ごとに分担)

参照条文

出典

  • p16、p19


Q3. 【期間の分掌】自分が子どもを預かっている期間中、旅行や習い事などの日常の世話について、毎回もう一方の親の許可をとる必要がありますか?

答え
原則として不要です。

解説
期間の分掌が定められている場合、
担当する親は、
旅行や習い事を含む日常の世話について、単独で包括的に監護を行う権限
を持つと整理されています。

参照条文

出典

  • p20


Q4. 【期間の分掌】「面会交流」ではなく「期間の分掌」を選ぶとき、裁判所は何を重視しますか?

答え
交替で監護することが、子どもの生活に無理を生じさせないか
という点を、より慎重に見ます。

解説
期間の分掌は、
単なる面会交流と違い、
生活の拠点そのものを交替で担う制度です。
そのため、子への負担が特に問題になります。

参照条文

出典

  • p20


Q5. 【期間の分掌】「家庭の法と裁判」p20が挙げている「期間の分掌特有の考慮要素」には、どのようなものがありますか?

答え(例示)
p20では、少なくとも次の点が例示されています。

  • 父母の住居間の距離・移動時間

  • 現に交替監護をしている場合はその状況

  • 父母の関係性(協力関係を安定的に継続できるか)

  • 子の年齢・心身の状況

  • 学校・保育・習い事等の状況

  • 環境変化への適応性

  • 子と父母それぞれの関係性

  • 子の年齢・発達に応じた意向・心情

参照条文

出典

  • p20


Q6. 【事項の分掌】「事項の分掌」とは、どのような決め方ですか?

答え
教育や医療など、一定の分野(事項)ごとに、監護権限を一方の親に委ねる決め方です。

参照条文

出典

  • p21


Q7. 【事項の分掌】「教育に関する事項」を父が担当すると決めた場合、進学など重要な判断も単独で行えますか?

答え
単独で行える範囲が広がり得ますが、何でも単独でできるわけではありません。

解説
p21では、
事項の分掌により、
日常の行為に当たらない重要な判断も含まれ得る
とされる一方、
法定代理権の行使(在学契約の締結など)まで当然に含まれるわけではない
ため、他方の共同親権者と共同で手続きをとる必要があります。

参照条文

出典

  • p21


Q8. 【期間の分掌】養育費は、「一緒にいる日数」で割って決めれば良いですか?

答え
日数だけではなく、誰が何を負担しているか、生活実態を踏まえて、標準算定方式の基本額を修正する考え方が示されています。

参照条文

出典

  • p21


Q9. 【婚姻中】別居中に「期間の分掌」を定める場合、終期はどう定めるのが相当ですか?

答え
「離婚して親権者が定められた時」や「別居が解消された時」など、終期を区切って定めるのが相当とされています。

参照条文

出典

  • p21


Q10. 監護の分掌は、従来の「監護者指定」と比べて、どのように位置づけられますか?

答え
監護者指定が
「どちらが全面的に監護するか」を決める制度だったのに対し、
監護の分掌は、
良い親同士が、子どもにどう関わり合うかを設計する制度と整理できます。

解説
p17では、
事項の分掌や親権行使者の指定など、
より制限が少ない選択肢がある以上、単独の監護者を定めることは慎重にすべき
と説明されています。

参照条文

出典

  • p17


まとめ(当事者の方へ)

「共同養育をしたい」という思いがあっても、
それをどの制度で、どこまで実現できるかは別問題です。

改正民法では、
そのための具体的な枠組みとして
「監護の分掌」が用意されました。

大切なのは、

  • できること

  • できないこと

  • 裁判所が何を見ているか

を、条文と実務解説に即して理解することです。